“転んでもただでは転ばない”柴田綾子先生③ /未来を描く30人の医師のライフストーリー

医療4.0に登場する未来を描く30人の医師のルーツと半生、その生き方に迫る”医療4.0×医師ラボ“企画。今回はLINEボット「ラッコの妊娠相談室」を運営する柴田綾子先生にその半生を語っていただきました。今回は、柴田先生の描く将来像から最近の女性医療の話をお届けします。

(第1話 産婦人科医になるまでの話はこちら)

(第2話 “キャリア”についての話はこちら)

(この記事は8/19に行われた医師ラボ朝活の内容の一部を記事にしたものです)

柴田 綾子(しばた あやこ)

「ラッコの妊娠相談室」運営、淀川キリスト教病院産婦人科

名古屋大学情報文化学部卒。2006年、群馬大学医学部に3年次編入。沖縄県立中部病院での初期研修を経て、2013年より淀川キリスト教病院(大阪市東淀川区)産婦人科に勤務。産婦人科専門医。共著に、『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社、2017年)。

勝手に描く将来像

皆さん、医者としてどのくらい働く予定でしょうか? 10年?20年?

医学部6年間と初期研修でほぼ10年かかるので、医者として10年働くと医学部入学から約20年が経つ計算ですね。
20年前って、パソコンのMacがとっても厚くて、今やみんなが普通に使ってるGoogleが創業した頃なんです。
そう思ったら、自分らが医学部行って10年間働いたら、その間にどれだけ医療技術進むんだろうって思うわけですよ。

医者の働き方ってあと10年たったら全部変わってもおかしくないと思っています。そもそも病院ってあるんでしょうか?

10年前は携帯なんて全然なかったのに、今はほぼ持ってますよね。そしたら、わざわざ10年後に病院に来る必要があるんでしょうか。
あと、薬を病院で医者が処方して薬剤師が渡す時代ってあと何年ぐらいでしょうか。
携帯で個人のデータ入力ができたらそれに合わせて調合できるようになると思いませんか?
医者が処方して薬剤師が渡すってもう時代としては、それほど残ってないのかなと思います。
もしかしたら携帯から個人に合わせた薬が届けられる日も来るのではないでしょうか。

あとは、健康とか病気の概念ってそもそもどうなるのでしょうか。

人間って細胞が毎日入れ替わってて、老化したりしてその中で細胞がうまく働かなかったりすると病気になると思うんですけど、じゃあ毎日細胞の状態とかチェックしてそれを日々メンテンナンスしていたらその病気っておこるんでしょうか。
例えば、細胞が毎日メンテナンスできるようになったら、そもそも手術は不要になるかもしれません。
手術は悪くなった組織を主に扱っているから、細胞の時点で発見し分子標的薬で治療してしまったら、10年後とか20年後は不要になっているかもしれません。

そうすれば、そもそも「医者が病院で働く」っていう働き方自体が、これから20年間ぐらいになるんじゃないかと感じます。
私たちは、これからの医療の発達についていかないと、10年後20年後も働き続けるのは難しいんじゃないかなと勝手に思っています。

最近の女性医療

最後に女性医療で、今どんな技術が生まれているのかをご紹介して終わりにしようと思います。

月経管理アプリ

今年の8/14FDAが初めてアプリを承認しています。
これは月経のサイクルを管理するアプリで、FDAは医療機器として初めてアプリを承認したのです。
というのは、厳格に使えば理想的には妊娠率1.6%、適当に使っても妊娠率6%というエビデンスが出てきて、コンドームに近いレベルで月経管理アプリが避妊管理に役立つことが示されたのです。
ただ、このアプリを使用した人の中で、望まない妊娠が何名か発生し、避妊率が十分ではない疑いが出てきたため、現在調査が行われています。(2018年9月14日時点)

避妊インプラント

海外や発展途上国では、ホルモンを放出するインプラントを埋め込んで避妊をし、望まない妊娠を防ぐ方法があります。
男性に頼んでもコンドームは使ってくれないし、ピルとか毎日飲むのも無理だし…というところで、皮膚の中に埋め込んで避妊する方法を発展途上国では行っているんです。

それを無線でコントロールすれば、妊娠したくなった時にも除去しないでもいいんじゃないというデバイスがこちらです。
これは妊娠したいと思った時に電池をオフにすれば、避妊の効果はなくなるので、妊娠できるようになるんです。
これはまだ2018年の時点で実用化されていませんが、現在コンドームに頼ってる避妊もテクノロジーの力でどんどん進んでいくと思っています。

タンポン型基礎体温計


女性と男性の違いは、ホルモンの日々の変化という点があります。女性は排卵とか生理に合わせてホルモンの値が大きく変わるし、それに合わせて基礎体温とか自律神経も動いているといわれています。
基礎体温は体温計で測るのがほとんどですが、これはタンポン型基礎体温計です。海外でクラウドファンディングされており、舌とか耳で測るのではなく、タンポンとして膣内に入れて基礎体温を測定します。
これで排卵の日をばっちり予測して、妊活すればもっと妊娠率あがるのでは…というデバイスです。

唾液で不妊検査

不妊治療では色々な項目の採血があり、治療も毎回通ったりしないといけなくてすごく大変だと言われています。

働く女性の中で、不妊治療の通院のために仕事をやめざるを得ないという人が大勢おり、そういう人にとっては例えば家で不妊の検査ができるのって、すごく有用だと思います。
まだ実用化には至っていませんが、これは唾液の中からエストロゲン、プロゲステロンを測るキットの実用化をすすめている会社の写真です。
不妊症は、先進国を中心に患者数が凄く多いので、働きながら自宅で不妊の検査や治療ができるサービスは非常に社会的ニーズが高いです。

自己検査キット

女性の健康における社会的な課題は、性感染症、子宮頸がんです。これらの自己検査キットは日本でも臨床研究がいくつか進んでいます。
というのは産婦人科に来るってものすごくハードル高いんです。
若い女性からしたら産婦人科に行くとかまず難しいと思います。自分で言うのも申し訳ないですけど、私自身も産婦人科に行くって躊躇したんですよ(笑)

それを克服する1つの選択肢として自宅で検査するキットがでてきています。

でもですね。個人的に言えば、これを自分で膣にいれるのすらハードルが高いと感じます。自分で自分の膣の中にいれるとか、かなり厳しいと感じます。
だから自分は、究極的には生理の血を使って検査してほしいと思ってます。

技術的にまだ無理なようですが、生理で毎月血を垂れ流してるのに、何でその血を検査に使えないんだろうとずっと感じています。
将来的には生理の血を使って、子宮頸癌とか性感染症とか貧血のチェックとか、そんなことが家でできるようになるはずだと思ってます。

生理を快適にする生理用品


日本でも出てきていますが、ナプキンだけじゃなくカップ、タンポン、リングなど様々な生理用品があります。
女性は毎月生理が来てて、いかにQOLを下げずに過ごせるかってものすごくニーズが高いんです。
例えば下着と一体化してて、全然ナプキンをはめてることを感じさせないとか、生理痛を電気刺激によって痛みを抑えたりとか。

実際、2015年に日本でも、「経皮的電気刺激で生理痛が抑えられ、生理痛の薬を飲むのが減った」などの学会報告がありました。

生理痛って、個人差が多くて、ひどい人は数日寝込むこともあります。
生理痛で悩んでいる女性が日本にたくさんいるので、痛み止めの以外の方法で和らげるサービスはニーズが高いと思いますし、働く女性の生産性をあげるという意味で重要だと思います。

まとめ

ライフストーリーとしてのメッセージはこの4つです。


私たちは自由で、医療技術もすごい発展している、すごくいい時代に生まれてきていると感じます。
その中で私たちができることを一緒に頑張ってできたらなと思ってるので、今後とも宜しくお願いします。

 

 

<文=松崎香子>

コメントを残す