医大生が中小企業診断士という経営の国家資格を取ってみた

僕は医大生として大学に通っていますが、先日中小企業診断士という国家資格を取得しました。
中小企業診断士は経営の唯一の国家資格です。
今回はその経緯や勉強法、役立っているのかなどにについて紹介していこうと思います。

医大生が経営について勉強するには?

僕は再受験で医学部に入り直しましたが、前の大学では経済学部でした。
元々経営に興味があり、医学部を志したのも、実家が開業医で経営に興味が湧いたことが理由の一つにあります。

近年赤字の病院も多く、自分が将来病院を継いだり開業しようとした時に、果たしてうまく経営をすることができるのだろうか?という危機感から経営の勉強をしたいと思いました。
医学部に入り、経営の勉強もしたいと思った時、一体どういう方法があるのか?
いくつかの選択肢が浮かびました。

  • 自分で起業する
  • ベンチャー企業などでインターン
  • 資格をとる

僕に浮かんだのはこの3つの選択肢でした。
経営について知るには自分で起業するのが一番だとは考えたのですが、

  • 0→1ではなく1→10にする部分の知識を取得したい(実家の病院を手伝いたいので、すでに仕組みができて回っている事業をより大きく拡大したり、改善したるする部分の勉強をしたい)
  • 経営に関して企業の一部だけでなく全体を体系的に勉強をしたい

という考えがありました。時間の制約なども考え、上記の条件に合致する資格があればそれを勉強したいと思いました。

 

MBA、会計士、税理士の資格について考える

経営の資格を考えたとき最初に思いついたのがMBAです(正確には経営学修士の学位ですが)。
MBAは経営全般について勉強できる上、知名度も高く魅力的でした。

しかしMBAは取得に非常に労力がかかり、また2年間通わなければいけません。
学生であり、1年でも早く卒業したいと考えている自分にとって休学の選択肢は考えられなかったため、
MBAはまず選択肢から外れました。

次に思いついたのが会計士や税理士の資格。
始めに簿記の資格あたりから始め、その延長でこれらの資格を取得しようと考えました。

しかし、調べてみるとこの二つの資格は、登録のために会計事務所や企業の経理などでの実務経験が必要だということがわかりました。
学生の自分にはこの条件を満たすことは厳しく、また資格の難易度もかなり高いためこれらも諦めました。

また、調べていく過程でわかったことがあります。
会計士や税理士の資格はクライアント企業の財務諸表などを見て現在の経営状況を分析することはできます。
例えば、負債比率が大きい、営業利益率が低い、固定資産税がかかりすぎてる、など企業の現状を明らかにすることは得意分野です。

しかしこれらの資格では、その企業の「未来」まで見ることはできないのです。
この企業にはこんな弱点がある、だからそれを改善するためにこんな施策を打つべきだ。この「こんな施策を打つべきだ」というところを考えるための勉強は、この2つの資格では勉強できないことがわかりました。

自分が勉強したいことをもう一度考えてみると、企業や病院がどういう方向に進めばいいのか、経営者として事業を拡大していく上で役に立つ知識が欲しい、という思いがあったのでその意味でもこの二つの資格は少し違うのかなと感じました。

 

中小企業診断士

そこで他に何かないかと探していた時に見つけたのが中小企業診断士という資格でした。
この資格は経営に関する国家資格です。民間資格で経営の資格は色々ありますが、国家資格は”唯一”この資格だけです。
その勉強範囲は経営戦略、財務、法務、人事組織、運営管理、
IT、経済など多岐に渡ります。
試験では論述もあり、企業の分析だけでなく、これからどうしていくべきかの提言まで答えることを求められます。
そしてこの資格を取得した人の中には経営コンサルタントとして独立する人もたくさんいます。

中小企業診断士として登録するには、一次試験、二次試験、面接試験、実務補習という4つの関門を突破しなければいけません。
実務補習というのは実際に企業に出向き、社長からのヒアリングや現場調査、市場調査などを行い経営診断を行います。
つまりコンサルタントとしての実戦の場が用意されているのです。
ただペーパーの試験に合格するだけでなく、コンサルタントの実務を経験することができる。
そしてその中で本当に使える経営知識を取得できる。
この点に非常に魅力を感じました。

このような経緯を経て経営の勉強のために、中小企業診断士という資格を取得することを決めました。

どんな内容をどれくらい勉強したのか

この試験は1次、2次、面接の3段階に分かれていて、
一次試験は

  1. 企業経営理論
  2. 財務会計
  3. 運営管理
  4. 経営法務
  5. 経営情報システム
  6. 経済学・経済政策
  7. 中小企業経営・中小企業政策

の7科目を2日に分けて受験します。
マルチプルチョイスの試験で経営知識全般が問われます。

2次試験は

  1. 組織・人事
  2. マーケティング・流通
  3. 生産・技術
  4. 財務・会計

の4科目で、こちらは論述式です。

企業のケースが与えられ、実際に財務諸表を読んだり企業の置かれた状況を分析したりして改善案を提案するような問題が出題されます。
受験者の知識に加え、論理的思考力を試される試験でもあります。

2次試験に合格すると最後に面接があります。
しかしこれはほとんど落ちることのない通過儀礼みたいなものなので、2次を通過すれば実質合格ということになります。

1次試験に関しては僕は医学部受験の年に3ヶ月ぐらいの短期間で一日10時間ぐらい勉強して合格しました(医学部受験の勉強しろよというかんじですが笑)。
ただこれは特殊な例で、普通は1年ぐらい毎日2時間ぐらい勉強すればいいそうです。
(かなり個人差があるようですが、厚生労働省の統計によると取得までの平均勉強時間は1次、2次合わせて1300時間だそうです。)

2次試験は医学部受験の勉強と並行して2ヶ月間毎日3時間ぐらいの勉強をしましたが、中途半端になってしまい1回落ちました笑。
そして次の年に再チャレンジしましたが、その時も他のことに時間をとられてあまり勉強することができませんでした。
実際は1ヶ月半ぐらいで合計80時間ぐらいしか勉強できなかったと思います。

もうこれは絶対落ちると思っていましたが、ダメもとで受けてみると、たまたま自分にとって解きやすい問題が出題され、本当に運良く受かってしまいました。

 

勉強したことは役に立つのか

まぐれで合格してしまったので、勉強が役に立つかを僕が語って良いのか微妙なところですが、あえて語るとすると、勉強は役に立っています。
まず変わるのは、日経新聞を読んだり経済に関わるニュースを聞いたとき、その内容が理解できるようになります。
またニュースを見る視点も変わってきます。

例えば、今話題のてるみくらぶ破産のニュースも、これまでは『内定取り消された学生かわいそう。』とか『予約した旅行先のホテルが取れていなかったなんてひどい。』ぐらいの感想しか持たなかったのに、
『新聞の広告費が原因と言っているが本当だろうか?』とか『どんな環境変化がこの会社のビジネスモデルを成り立たなくさせたのだろう?』などを
考えるようになりました。
この物事を見る視点が変わったことが勉強をして得た大きな成果かなと思います。

実務的なところでいうと、僕は実家の病院の手伝いをしたかったのですが、その役に立っていると感じています。
まず病院やクリニックの財務諸表が読めるようになりました。
株式会社でも医療法人でも財務諸表の書き方は同じです。
今までは病院の決算書を見てもちんぷんかんぷんだったのが、今はいくつかの病院の財務諸表を比較して自分の病院の強みや弱みがわかるようになりました。
また親と病院の持分や相続の話、人事の話、デイケアやデイサービスなどの新事業を作ろうという話、など病院の経営に関わる話になったとき、話についていけるようになり自分の意見を言えるようになってきたと感じています。

まとめ

もちろん自分で実際に起業したりして事業をまわすことが経営の一番の訓練だとは思いますが、資格の勉強だけでも得られたものはたくさんあったと思います。
経営の勉強をしたからといってすぐそれが実戦に活かせるといったことはありませんが、勉強をして損はないと思います。
将来開業なども視野に入れている方はまずは知識だけでも経営の勉強をしてみてはいかがでしょうか。

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