納得!医師が専門科を決めるための5つの判断材料

1年目後半、あるいは2年目になり、
後期研修以降の専門科を何にしようか迷っている、初期研修医の皆様。
ご機嫌よろしゅう。

自分も物凄く迷い、悩み尽くした記憶がある。
その悩んだ経験をもとに、専門科を決めるときの判断材料を5つ挙げてみたので、参考にして欲しい。

 

「納得!医師が専門科を決めるための5つの判断材料」

⑴領域愛:学問としてその領域が好きかどうか
⑵診療科愛:診療科としての魅力 急性期or慢性期?etc.
⑶先人の導き:先輩の実体験やアドバイスを聞いたときの自分のリアクション
⑷不安要素:迷っている理由を考える
⑸おまけ

この5つを抑えていれば、納得して専門科を決定できる。
また、専門科決定に関してのそれぞれの判断材料のウェイトは人によって様々である。

 

⑴領域愛:学問としてその領域が好きかどうか

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医学生のときにテスト勉強が苦でなかった、マシだった、むしろ楽しかったのはどの科目か。その科目のどこが好きなのかを考えてみる。

私は循環器科を選択したが、選んだ当初はまだ心臓が好きというより、「血行動態」が好きだと認識したのが始まりだった。血管が広がったり縮んだり、圧が上がったり下がったり、点滴や口から入った水が体内に色々なかたちで分布されたり皮膚や尿管から排出される流れのダイナミズムが好きだった。血行動態には心臓は重要臓器のひとつであり、これを循環器科選択の判断材料とした。

 

⑵診療科愛:診療科としての魅力 急性期 or 慢性期?etc.

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学問としての魅力と、診療科としての魅力はまた別物である。循環器疾患の病態が好きでも、急性期疾患の対応は絶対にやりたくない、という人は循環器内科には進まないほうが無難かもしれない。

あるいは、診療で使う機器や科に特化した手技についての興味なんかで科を決める人もいる。これはつまり、例えば透析器を扱うのがかっこいいと感じるなら腎臓内科とか、心エコーやカテーテルが好きだったら循環器内科とか、人工呼吸器のプロフェッショナルになりたいなら救命救急医や麻酔科、呼吸器内科など。機器や科に特化した手技が好きということは、つまりそれにまつわる疾患や病態が好きということの現れでもある。

私は急性期疾患の対応で興奮するし、心エコーが好きだった。循環器疾患は、診療していて、急性期の致死的な状況から、歩行退院できるまでに回復することが珍しくない、「目に見えて大きな変化がある、治せる科」という印象があった。「治せる治療」に興味があれば循環器内科はオススメである。

一方診断学が好きな人は総合内科や神経内科もオススメかもしれない。シンプルに言えばお腹の手術が好きなら外科だし、終末期を本人や家族の納得のいくようあたたかく診ていくことに魅力を感じれば在宅医療を見据えて科を選択すればよい。
これも、学生時代には実感できなかった判断材料のひとつである。

急性期 or 慢性期?
どんな機器や手技に興味が湧くか?
診断や治療、診療のどんな場面に魅力を感じるか?

初期研修中に、後期研修医の診療ぶりを見て、どんな場面に自分が魅かれるか考えてみるといい。

 

⑶先人の導き:先輩の実体験やアドバイスを聞いたときの自分のリアクション

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単純に、自分の進みたい科、考えている科に進んだ先輩に話を聞いてみるのもひとつである。選んでみてどうか?働いていてどうか?その話を聞いて自分の気持ちが熱くなるかどうか。

自分のことをよく知っている先輩なら、自分に対してアドバイスをもらうのも手だ。先輩や同期からの「お前って○○科にいそう!」というなんの根拠もない発言も、その後の選択科をみてみると意外と合致していることが多い。

私自身について言えば、循環器内科の先輩女医に言ってもらった言葉は大きかった。⑴領域として循環器疾患が好きだし、⑵急性期疾患の診療や、エコーも好きだけど、循環器内科はハードというイメージがあり、不安があった。
そんな中、「循環器は最高に楽しいから、女子の後輩をつくりたかったけど、正直大変ではあるから、簡単には誘えなかった。でも貴方なら自信を持っておすすめできるよ!循環器を楽しめると思う」と先輩に言って貰ったことがある。
私はこの言葉に背中を押してもらった。

とにかく先輩に話を聞いてみる。

その話に対して自分がどう感じるか、自分のリアクションを意識してみることだ。

 

⑷不安要素:迷っている理由を考える

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これは実は重要なことである。⑴領域愛、⑵診療科愛、⑶先人の導き、は能動的に科を選択するための判断材料だが、⑷は「その科をすぐに決定できない理由」の方に焦点をあててみた。

私に関して言えば、⑴〜⑶で循環器科に魅かれてはいたものの、循環器科の大変そうなイメージ、女医が少ないイメージから、自分でもやっているかという不安がかなり大きかった。体力的にも精神的にも、命に切迫した状況に接することがある科でやっていけるのかという、漠然とした大きな不安があった。
これを払拭したのは、⑶先人の導き の先輩の言葉である。これが私を後押ししてくれた。

⑴〜⑶で希望の科が定まっていても、決められないのには理由があるはずだ。
その理由がなにか?その理由はどうしたら払拭できるのか?

これが判明すると、なかなか決まらなかった専門科も決定できるかもしれない。

そして、不安を持ちながらも専門科を進んでみた私自身の経験から言わせてもらえば、得意不得意は気にしなくてもよい。大切なことは、好きかどうか、合うかどうかだと思う。
そもそも、研修医の2年間で何が得意か、何が不得意かなど分かるはずもない。
これから全てが始まるのだ。

 

⑸おまけ

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余談だが、私は本当に散々悩んだので、最終手段としてあみだくじをしたこともある。
昼休みなどに医局や食堂で休んでいる同期を見つけて、紙ナプキンの裏にあみだくじを作った。

最初は循環器内科、呼吸器内科、呼吸器外科、泌尿器科、その他の5択。
同期にも横線をいれてもらい、真ん中を選び、線を辿っていくと、循環器内科であった。

2回目は循環器内科、呼吸器内科、その他。
これも結果は循環器内科。

3回目も同様の3択。
循環器内科だった。

3回のあみだくじで、見事?偶然、連続3回とも循環器内科だったのだ。
5×3×3=45

循環器内科が選ばれる確率は45分の1で実に2.222…%の確率である。

このとき、
(後輩にのちのち、『先輩なんで循環器にしたんですか?』と聞かれたとき、あみだで3回連続循環器だったんだよね〜って言ったらウケるかもしれない…)と思ったことは否定しない。

悩める皆さんももし良かったら一度試してみて欲しい。

以上が、専門科選択において私が意識した5点である。

また、大切なのは、一度科を選択したらずっと縛られてしまうわけではないので、思い詰め過ぎないことだ。転科した先輩はいくらでもいるし、一度選択した科の勉強や経験は決して無駄にはならない。

科を選択し、専門にすすめば、楽しく充実した研修生活が待っている。

⑴領域愛、⑵診療科愛、⑶先人の導き、⑷不安要素、⑸おまけ。

これらの5つの判断材料を用い、自分なりに納得して専門科を決めて欲しい。

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ABOUTこの記事をかいた人

福田 芽森

私立医学部出身。都内大学病院勤務。循環器内科医、産業医。 趣味は旅行、登山、アート全般、音楽、食事、料理。 文化について考えたり四季を感じることも好き。ガンジス河は遊泳済み。