初期研修病院の選び方、6つのポイントで徹底比較!

勉強、部活に飲み会、デートに忙しい医学生諸君。

今回は、初期研修病院の選び方について、私自身の経験から感じたことを書いていきたい。

医学部を卒業し、国試に受かってようやく、医学生は医師になる。

社会人になって最初に働く場のひとつである初期研修病院は、人脈をつくるという意味でも、その後の医者人生の中でも大事な場所である。

その大事な初期研修病院を選ぶにあたって、重要なポイントは以下の6つだ。

⑴大学病院 VS 市中病院
⑵病床数(規模)、診療科の数とバランス
⑶3次救急の有無
⑷初期研修医の立ち位置
⑸同期の数
⑹各種条件(立地、給料、福利厚生など)

以上、6つのポイントについて気になる病院を比較し、自分の中で項目の優先順位をつければ、マッチングでの迷いがぐんと減るだろう。

 

⑴大学病院 VS 市中病院

初期研修を考えたときに病院を大きく2つに分けると、大学病院か市中病院かに分かれる。病院としての機能や仕組みも大きく異なるため、まず考えるべきポイントである。

大学病院と市中病院に分類したときのそれぞれの魅力と、気になる点についてまとめてみた。

<大学病院>

魅力:将来的に医局に属したいと考えるのであれば、初期研修から医局に入っておいた方がいい場合もある。初期研修を終えてから大学に戻っても、「医者学年」でなく「入局した学年」でカウントされる場合、キャリアを積むのに遅れをとる恐れも0ではないからだ。これは大学によって違うので、出身大学や将来的に入局したい病院の入局に関する情報をチェックしておく必要がある。

発表や研究を盛んに行いたい場合や、将来的に大学に骨を埋める覚悟で教授などのポストも目指す場合は、初期研修から大学病院を選ぶ力強い動機となるかもしれない。

気になる点:人が多い分、本人のやる気がなければ何も求められず、何も身に付かず研修を終えるというホラーになってしまう可能性もある。大学病院は組織として巨大なため、実力が少しついてきた段階でも、治療方針については上司の意見を仰ぐことが多い。

<市中病院>

魅力:大学病院よりも母体が小さい分、科の垣根、上の先生との垣根が低い。個人的にだが、コメディカルの人達とも仲が良く、全体的に人間関係のストレスが少なく、「仕事をしやすい」環境である印象。

また、病院によって程度は様々だが、研修医がアクティブで、活躍の場が多い。手技や治療方針を決めるときなど実践的な面では、大学病院より軍配があがるだろう。

気になる点:大学病院と比較するとアカデミックさにはかける恐れあり。学会発表や研究を初期研修医の間から盛んに行いたいのであれば懸念材料ではある。

ざっくり言って、市中病院はがつがつ実践、アットホーム!大学病院は、アカデミック、でも自分一人の存在は小さい!という感じだ。

また市中病院は、規模から特徴まで様々なので、一概にまとめられないことも追記しておく。

 

⑵病床数(規模)、診療科の数とバランス

これらは、病院としての「力」を間接的に示している。

単純に症例数が多いことは、まず最初にcommon diseaseの診療力を磨くべき研修医としては、魅力の一つとして考えて良い。初めから母体数の少ない特殊な病気をみることより、common diseaseをまず診られるようになることが、臨床医として築くべく土台と私は考える。(専門性に超特化しており、全国からある特殊な疾患の患者が集まってくるために病床数が多い病院についてはこの限りではなく、common diseaseに出会う数は少ないかもしれない。)

また、規模が大きい病院は、診療科がある程度揃っていることが多い。「科に偏りなく研修をしたい」人にとっては、これも重要なポイントである。

そしてその上、「各科の実力(手術数や検査件数、いわゆる最新治療の有無など)に隔たりがない」、あるいは、「自分の求める科に実力があること」も、ポイントのひとつであろう。

専門科をまだ決めておらず、「偏りなく研修したい」人にとっては、どの科もそれなりの実力を備えていることは重要だろうし、専門科をもう決めている人であれば、その科の実力(手術数や検査件数、いわゆる最新治療の有無など)は非常に重要になってくる。

いわゆる病院のもつ実力的な部分である。

 

⑶3次救急の有無

これは、診れる症例の「重症度」に関わってくる。

2次救急までしかとらない病院だと、当たり前だが「生命に危機が及んでいる超重症患者」が搬送されてくる可能性は低い。たまにウォークインで来院したけど重症だった、とか、2次救急車で来たけど状態が悪化した、とかはあるかもしれないが、それは偶然の産物であり重症患者の研修を積みたいという目的には適わない。重症患者の対応ができること、それはすなわち、軽症患者だろうと健常人だろうといつ何時でも起こりうる「急変時」の対応ができること、に繋がる。

私個人としては、3次救急のある病院での初期研修を強く勧めたい。

しかし、重症患者の対応ができなくても良い、将来的には物凄く特殊な疾患の研究をしたい、重症患者や急変の少ない科でのスペシャリストとして早く成長したいなど、明確な目標があれば、これに拘らずともよい。

 

⑷初期研修医の立ち位置

次に、初期研修医の立ち位置。これは言い換えると、初期研修医に「どこまで求められているか、どこまで許されているか」である。

⑴市中病院 VS 大学病院 で考えると、市中病院は大学病院と比較して、初期研修医が活躍できる場は多い。これが、市中病院の中でもばらつきがあり、判断が難しい。実際に目当ての病院へ見学に行き、そこで働く初期研修医の仕事や生活の中身を覗いてみる、話を聞くとよくわかると思う。

極端に言えば、「ただのお客さん」か、「主治医」かの違いくらいがあると思う。

研修の充実度は本人のやる気に左右されることは言わずもがな、何もしなくても後期研修医や経験年数の高い医師によって治療が進む病院にいると、自分の存在意義を感じるためには工夫や努力が必要になる。

患者に対して医師の比率が少ない、あるいは初期研修医が大きな戦力としてカウントされている病院では、自分に甘くちょっと怠けてしまうような研修医でも、ある程度の責任感があれば必然的に、成長を迫られる。

例えば、当直医が自分一人しかいない状況で、救急車がひっきりなしに来る病院にいれば、「自分がやるしかない」状況に追い込まれることで、必要に迫られて勉強するし経験するし、臨床能力はつく。

但し、何度も繰り返すが、研修の充実度は本人のやる気に左右される。

勉強することや、仕事は、自分でみつけるものである。

それでも、自分は追い込まれた方が成長できる、と思う人は、チェックすべきポイントだ。

 

⑸同期の数

初期研修のときの同期は、実はかなり重要である。

その後の医者人生でも、大切な仲間となり、人脈の基礎となる可能性が多いにある。医者の世界は狭く、初期研修の2年間、泥臭く入り乱れて苦楽を共にした仲間は、その後も折に触れてお互いの力になることが多い。入局時、開業時、何か新しい事を始めたい時など。「初期研修同期」は、医者人生の中では、同じ幼稚園で育った、くらいの幼馴染感がある。

そしてそもそも、初期研修の2年間、志が高い仲間と研修を共にすること自体が、その後の人生にとって良い人脈となる。

 

⑹各種条件(立地、給料、福利厚生など)

社会人としての現実的な部分である。給料、社宅の有無、家賃補助の有無、立地(都会がいいのか地方がいいのか、自然があるか、街へのアクセスなど)…。

給料が少なくても、社宅が安かったり家賃補助が出る場合は、固定費を引いた、使えるお金の額ではそう悪くないことも多く、確認が必要である。

すでに結婚して所帯を持っている医学生は、所帯寮があるか、また相手の職場からの距離なども要チェックである。

見学に行った際は、まさに今その病院で働いている初期研修医をつかまえて、あれこれ聞いたほうが良いだろう。

ひとつ、寮の住み心地については、「住めば都」なのでご安心されたし。

 

以上が、初期研修病院の選び方に必要な6つのポイントである。

⑴大学病院 VS 市中病院
⑵病床数(規模)、診療科の数とバランス
⑶3次救急の有無
⑷初期研修医の立ち位置
⑸同期の数
⑹各種条件(立地、給料、福利厚生など)

これら6つのポイントで比較し、自分の中でのそれぞれの優先順位を考えれば、初期研修病院を自信を持って決めることができるだろう。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

福田 芽森

私立医学部出身。都内大学病院勤務。循環器内科医、産業医。 趣味は旅行、登山、アート全般、音楽、食事、料理。 文化について考えたり四季を感じることも好き。ガンジス河は遊泳済み。