再受験生インタビューT.Sさん〜番組ディレクターから医学部へ〜(2)

元テレビ番組制作ディレクター。卒業から4年後の医学部再受験。壮絶なディレクター生活を経て自身の人生について考え直し、医学部に入りなおすことを決めたという北里大学医学部2年生のS.Tさん。社会人時代から今の医学部生活、将来の話までをお話しいただきました。今回は医学部再受験を決めた理由について話していただきました。

 

 

(前回からの続き)

T.Sさん 以下T)仕事を辞めてからはいろんな道を考えました。辞めた時期に就活もしましたし、別の全然違う道も考えました。その中で出てきた選択肢の一つが医学部再受験だったんです。なぜその選択肢が出てきたのかというと、ディレクター時代に医師の取材をしたことがあって、その時の経験が大きなきっかけの一つでした。

 

医師の仕事に圧倒された

佐々木 以下S)どのような経験だったんでしょうか。

T)ある番組の企画書を作るため、夜中の2時、3時にバリバリ働いている人を探していました。その中で出た選択肢が、救急の医師でした。僕としては、動きのある仕事の方が面白い絵が撮れるなとか、そういう下心があって救急の現場を取材することにしたんです。そして実際に救急の現場を見せていただくことになったのですが、その時の体験がとても強烈なものでした。そこでは血を流している人、バイクで事故をして瀕死の人などがどんどん運ばれてくる中で治療をする。それがすごく体当たりでやっている感じがして、すごいなと思うと同時に圧倒されたんです。生きるか死ぬかのギリギリのところで必死に救命活動をする。実際に目の前で起こってることがあまりにもダイナミックだったので、撮れる絵の面白さばかり考えていた自分がバカらしくなってしまいました。

 

わかりやすく人の役に立つことができる仕事

S)それは衝撃的ですね。それで自分の仕事と比べてしまったと。

T)はい、僕は結局ファインダー越しでしか世界を見ていませんでした。どういう絵になるんだろうかとか、この場面をカメラで撮ってこう編集したらこうなるだろうな、とか、その時期はそういうことしか考えていなかったんです。救急の先生が目の前で人を救ってるのと対比してみると、自分の仕事ってなんなんだろうとよくわからなくなってしまいました。その時感じたのは、医師の仕事はもろに人のために役立つことができる、わかりやすく役立つことができるということでした。困っている人が目の前にいて、その人を助けることで喜んでもらえる。シンプルに自分の成果が目に見えて受け取れるという点が僕にはなんだか新鮮で魅力的に感じました。この時すぐに医者になりたいと思ったわけではないですが、その経験から自分の仕事に疑問を持ち、医学部を受け直す時のきっかけとなったのは確かですね。

 

 

友人の再受験成功

S)自分の仕事観に影響を与える大きなきっかけだったんですね。他に医学部再受験を決めたきっかけはありましたか?

T)父親が医師なのですが、その影響も大きいですね。親が医師じゃなかったらおそらくそういう思考にはならなかったと思います。それからもう一つ、早稲田時代の友人の影響も大きいです。大学3年生ぐらいの時、同期だったバリバリ文系の女友達がいきなり医学部を再受験すると言い出して、いろいろ相談に乗っていました。でも僕ははじめ彼女に反対していたんです。当時の僕は再受験に対する知識もなかったので、彼女に対して、いきなりは難しいんじゃないの?とか、就活を完全に捨てて医学部1本に絞るのは厳しいんじゃない?とかその年齢から受験するのはどうなの?というようなことを言っていました。そうは言いながらも彼女の決意は変わらなかったので、それならとずっと応援していました。それで大学3、4年の間勉強して、卒業後も2年ぐらい勉強して、ついに国立大学の医学部に受かったんです。

S)努力が報われたんですね。よかった……

T)そういう子が身近にいたこともあって、再受験って全く空想の話でもないんだなと思うようになりました。それなら自分も挑戦してみようかなと思いました。それでとりあえず予備校の説明会に行って話を聞いてみると、『最近再受験の人も増えているんですよ』とか、『やれないことはないです。やるなら1年で合格するのがベストです。』という話になりました。それで家族と相談して医学部再受験をすることを正式に決めました。

S)ついに決めたんですね。

T)はい、11月頃に予備校に入ったので、そこから1年強ぐらい必死に勉強してなんとか医学部に入ることができました。

 

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