「ちょっとマニアックだったりエロかったりして本に掲載できなかったことをお話しします」〜『女性の救急外来 ただいま診断中』発売記念講演〜イベントレポート!

こんにちは、循環器内科医のMです。

普段の診療ではなかなか得られない知識、ネットワークづくりのため、今回「女性の救急疾患」についてのイベントに参加してきたので、レポートで会場の様子をお伝えします!

 

よりよい医療が社会に届くように、「医療×AI」で医療情報と医師同士のネットワーク構築を支援する会社、Antaa主催。その名も、

 

「ちょっとマニアックだったりエロかったりして本に掲載できなかったことをお話しします」〜『女性の救急外来 ただいま診断中』発売記念講演(柴田綾子先生)〜

です!PC環境が許せば是非講演会スライドを見ながら(Facebookイベントページより入手可能)、どうぞ。

まず、柴田綾子先生はどんな先生か?

一言で言えば、パワフルでユニークな女医さん!

産婦人科医の女医さんで、日本プライマリ・ケア連合学会女性医療・保健委員会(PCOG)メンバーであったり、「女性の救急外来 ただいま診断中!」(中外医学社(2017年5月17日発売))など書かれているエネルギッシュな方。しかも在学中にはインドにバックパッカーしに行ったり、USMLEのSTEP1、STEP2CK/CSに合格したりなど、行動力・達成力も備えていらっしゃいます。

 

そんな柴田先生のパワフルな自己紹介から始まりました。

USMLEは実技試験などの渡米費も入れると計50万円もかかるとのこと。それほど大枚をはたいた資格ですが、「使わないしドブに捨てたようなもん」と明るく言い放つ柴田先生(笑)。講演会は会場いっぱいの笑い声でスタートしました!

 

さて、本日のメニューは、

⒈ 女性の腹痛 マニアック知識編

⒉ 性に関するエロ知識

⒊ 研修医の方へ できレジマネージメント

と豪華なラインナップ。

 

⒈ 女性の腹痛 マニアック知識編

まずは真面目な臨床知識から。急性腹症の疫学について、「内科診断リファレンス」の情報や、解りやすい円グラフも取り入れながらの説明。

「妊娠可能女性の腹痛がきたらどうしたらいいか?」のフローチャートはかなり役に立つと思われます。

 

強調されていたのは、

  • 妊娠の有無は問診や身体診察では判別できない!妊娠可能年齢の女性の腹痛では必ず妊娠検査をしましょう!

ということ。基本的なことですが、必ず実施できているかといわれると、忘れがち……明日からはしっかり頭に入れておきましょう!

また、月経からの腹痛の鑑別、症状からの腹痛の鑑別、など多角的な面からの鑑別で女性の救急疾患についてのご教授。強調されていたことは例えば、

  • PIDでは子宮から両側の卵管に感染が波及し両側下腹部痛になることがある。
  • 排尿時痛には尿路感染症(膀胱炎)ではなく、クラミジア尿道炎などの性感染症が隠れていることもある!
  • 尿沈渣ではクラミジアでてこない。膀胱炎として治療していたら治らない!
  • コンドームなしでのセックスで腹痛があればPIDを疑う。
  • 腹痛・嘔吐は卵巣嚢腫茎捻転も疑う!痛みが強すぎて嘔吐している場合も珍しくない!なんと卵巣嚢腫茎捻転のうち7割の患者さんが吐き気がでると言われているらしいです!
  • 虫垂炎かPIDか1.痛みの移動 2.痛みが両側か右だけか 3.嘔気・嘔吐の有無で考える
  • 卵管、卵巣は腸管などと違って腹膜に接しているため腹膜炎になりやすい
  • 「反跳痛」に対する認識の外科と産婦人科医の違い!

など。

マニアックな知識も飛び出し、「明日からの診療に役に立たない可能性があります!(笑)」との発言でまた会場から笑い声が。そして皆も笑いつつ、興味深々。マニアックな疾患だからこそ、こういったセミナーでもなければ自分ではたどり着かないかもしれませんもんね。

(マニアックな疾患:ACNES(前皮神経絞扼症候群)、間質性膀胱炎(高年女性の隠れた疾患慢性の下腹部痛、膀胱に尿が溜まると痛い、排尿すると楽になる)、骨盤うっ帯症候群)
あとは個人的に嬉しかった情報として、「Hospitalist ~病院総合診療医~」のサイトは論文が沢山日本語訳されていて役に立つよ!とのことでした。

URL:http://www.hospitalist-gim.blogspot.com/

 

<Take home massage>

腹痛の原因がわからなくても安易に心因性にしない!

→診断できてない疾患がある

骨盤やおなかの痛みは奥が深い

問診や症状から疾患がしぼれる

 

 

そして、本日のメインプログラム(笑)?

 

⒉ 性に関するエロ知識

 

です!!日本人のセックスサーベイ!なかなかこんな情報は見られません。20〜69歳を対象にした情報の公開。

*ジェクス セックスサーベイ2017

http://www.glamourousbutterfly.jp/lovekatsu/gallery/2017/sexsurvey/pdf/sexsurvey2017.pdf

1年に1回しかセックスをしない「絶食系」男女はなんと、男性36.8%、女性45.2%だそう。「絶食系男女」…草食系以上の言葉がここにありました!人工知能を用いた2017年発売予定のセックスドールの話や動画も(会場で本日一番盛り上がっていたかもしれません(笑))。かなりリアルな人形で、皮膚も人間に近づけているそうです。…これは、今後益々増えてしまいそうです、「絶食系男女」…。

セックスの特徴と県民性の情報もあり。ここでいうと一番性行為に満足しているのは鹿児島、最下位は千葉県性の経験数がダントツなのは高知県という結果。

*ニッポンのセックス – 相模ゴム工業

http://www.sagami-gomu.co.jp/project/nipponnosex/

こりゃ「絶食系男女」で溢れた未来を救うのは鹿児島県民と高知県民しかいません。

 

また、セックスに関する男女の悩みの違いについて。男性はセックスの時間を気にするけど、女性はそうでもない。など具体的な例も提示していただきました。筆者は、これは性教育にも役立つ?そして男女のコミュニケーションエラーの改善にもなるかも?と思いました。

 

その後もまだまだ続く、性についての知識、研究!セクシャルカウンセリング、日本性科学学会…すごい!会場からは笑い声と「へ〜!」の連呼でした。

 

最後に、

 

⒊ 研修医の方へ できレジマネージメント研修医の方へ

 

柴田先生は、ゴルゴ13に登場するセリフ「10%の才能と20%の努力30%の臆病さ40%は運」を運用され、「臆病だから準備する、準備することで運もついてくる」の大切さを説いていらっしゃいました。

 

研修医1年目に必要なことは、

  • 要領、愛嬌
  • フットワーク
  • 体力
  • 周囲への配慮
  • 挨拶、返事、礼儀、5分前集合

の5つ。自分が持っている知識は大した量ではないし、すぐ差はなくなる。だからこそ人間関係を円滑にし、先輩や同僚から沢山吸収することが近道!と。

 

確かに、自分で学ぶことより、患者さん本人や、同期や先輩、ときには後輩から教えてもらえることのほうが結果的には大きいような気がします。

 

具体的な方法として紹介されたのは、

  • マルチタスクで考える―メモをつくろう―
  • Delayを作らない(退院準備を意識する)
  • 優先順位を考える
  • To Do リストをつくる

 

講演会は、面白くもあり、医学的知識も充実、また研修生活の教訓までも教えていただけるという、盛りだくさんの内容でありました。

 

そして柴田先生が最後におっしゃっていたことは、

 

真面目なことは、著書である「女性の救急外来 ただいま診断中!」に書いてあります!

とのこと(笑)。さすがです。

これは購入するしかありません!

講演会後の団欒も非常に盛り上がり、参加者大満足で会は終了しました。

柴田先生の著書、講演会を、今後も応援しております!

 

<おまけ>

講演後の会場からの質問

Q:性感染症の話はどうして興味をもたれたのですか?

A:性感染症の治療は泌尿器科や感染症か、産婦人科でされている。女性から質問が多くなっており、産婦人科である自分に質問がくるようになったのかなと思う。性感染症はちゃんと治療しないと将来不妊につながるため、性感染症の治療は非常に重要です。

 

Q:鍼灸師しています。ACNESかな?と今日お話しを聞いて思いました。

A:ACNESは検査は全部正常と言われています。圧痛点が明確にあるなど、もし疑わしかったら鑑別にあげてみてください。

 

Q:セックスからどれくらい経つと性感染症になるのでしょうか?

A:クラミジアや淋菌の潜伏期間によりますが、2〜3週間以内が多い印象ですね。ただ、PIDは性感染症だけとも限らない。マイコプラズマなど膣内の常在菌が悪さすることもあると言われているので、性行為がなくてもPIDになることがある。熱もないこともある。ちなみにPIDらしい所見として、①痛みの移動がない、②両側腹部圧痛がある③悪心・嘔吐がない、の3つがあり、これが3つ揃うと99%虫垂炎が除外できるという研究があります。

(Morishita K et al. Am J Emerg Med. Feb;25(2):152-7. 2007)

 

Q:Gスポットは年齢によって上がり下がりするのですか?

A:膀胱三角部周囲が神経が多いのでそこが多いと言われていますが・・どうなんでしょうね?!「子宮下垂/子宮脱」といって、経産婦さんが年をとると子宮や膀胱が下垂することがあるので、一緒にGスポットもさがるかもしれませんが……闇で行われているG-SPOTに何かを注入して感度を挙するという自費診療の怪しいサービス…などの話もあります。

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ABOUTこの記事をかいた人

福田 芽森

私立医学部出身。都内大学病院勤務。循環器内科医、産業医。 趣味は旅行、登山、アート全般、音楽、食事、料理。 文化について考えたり四季を感じることも好き。ガンジス河は遊泳済み。